加藤弘務氏(H27年度理工学研究科建設システム工学専攻修士課程修了生),宇佐美勉総合研究所共同研究員・元教授(理工学部),森翔吾氏(H25年度理工学研究科建設システム工学専攻修士課程修了生), 葛漢彬教授(理工学部)らの連名の論文に対して平成27年度土木学会田中賞(論文部門)が授与されました.受賞論文は新日鉄住金エンジニアリング㈱と本学との共同研究によるもので,山崎伸介氏と野呂直以氏との共同受賞です.田中賞(論文部門)は,橋梁工学の発展に大きく貢献した論文に与えられる賞です.受賞の対象論文は「実物大BRRP制震ダンパー開発のための基礎的研究(構造工学論文集,Vol.61A,2015年3月)」であり,授賞式は平成28年度6月10日に開催された土木学会総会にて行われました.
「土木学会賞選考経過及び受賞理由書」記載の受賞理由(抜粋)は次のようです.-(前略)本研究では「レベル2地震動を上回る地震動に対する余剰耐震性の担保」を目指した高機能制震ダンパーの開発が試みられており,先駆的研究であると言える.制震ダンパーにおけるエネルギー吸収メカニズムとして,波形鋼板の大変形挙動を利用するという着想は独創性が高く,制震ダンパーのみならず,他の用途への発展性も期待できる.制震ダンパーとしての検討は,実験・解析両面からのアプローチにより,検討対象も材料や接合などの細部にまで及び,その結果として,波形鋼板の大変形挙動の解明とそのモデル化が示されており,技術的な貢献度も高い.(中略)以上のように,本論文は,独創的なエネルギー吸収メカニズムを利用した新たな制震ダンパーの実用化に向けて,十分な検討に基づく基礎的知見が示されており,今後の橋梁の耐震性向上への貢献度が高いと言えることから,土木学会田中賞に値するものと認められた.-
加藤弘務氏と森翔吾氏は,現在それぞれ大日本コンサルタント㈱と㈱竹中土木に所属しています.加藤氏と森氏は,学部・修士課程在学中,昼夜を問わず研究を重ね,その成果は多くの査読付き論文として国内外の著名学術誌に掲載されています.両氏が修士論文の研究により土木学会賞受賞の栄誉を担ったことは,建設システム工学専攻の研究レベルの高さを示すものであり,同時に学生諸君にとって大きな励みになるものと思われます.
左から野呂氏、宇佐美元教授、山崎氏、加藤氏、森氏、葛教授